2011/09/01

9月最初の物語

そりゃあ、女ですから。強く優しく、涙にもろい生きものです。
彼女はそう言って背筋を伸ばし、一筋の涙を流した。
その立ち姿があまりに美しかったので、
村人は彼女を信頼した。
その言葉が真実かどうかなんて、
村人にはどうでもよかった       ---本より抜粋



今月から、こちらの子供に日本語の家庭教師をする彼女。



朝から電車で本屋さんに向かいました。




価格を増して売られている書籍。




いつだって、何だって、ちょっと手に入れるのが困難なものが輝くのは




本に関しても同じコト。




彼女は、小さい頃、自分が大好きだった「ぐりとぐら」を息子に買いました。





「ぐりとぐら」の著者の息子さん、嘗て彼女と同じ企業に務めていました。





決まっていつも蝶ネクタイをしていたあの彼は、今どうしているのかな。





膨大な本の中から一冊に決めた本





「夜の凹み本」---366のココロの風船





まえがきをここに記します。




人生は、凸凹△〇×◇◎
ときどき×の日があったって、いいじゃない。
凹んでるのは、あなただけじゃない。
友だちみんなが、〇ってわけじゃない。
ずっと凸(ふくら)むのは疲れるし、
毎日が◎や△なんて、ウソみたい。

凹む日があるから、人生はおもしろい。
凹んだ夜に、開いたページを読んで、
「おやすみなさい」。
凹んだココロに風船をつけて、
遠くの空にとばしちゃいましょう。





そして彼女は、帰りの電車に揺られながら、366の風船を読みはじめました。





息をするのが少し苦しくなるくらい、素晴らしい言葉の風船たち





ダイレクトなものから、キャッチコピーのようなもの






短い詩のような色のものまで、いろんな風船が揃っていました。






ココロに響くページにいくつも折り目をつけながら






彼女は本を読み続けました。






”女に生まれてヨカッタ。
         人前で泣いたりできるから。”





という風船のところで





小さな頃から泣き虫で






左目に、立派な涙ボクロのある彼女は






堪えきれずに、電車の中でボロボロと泣きました。






目の前のインド人の男性は、もしかしたら少し驚いたかもしれないけど






風船が詰まったちいさな1冊の本を抱きかかえるようにして






新しい靴を履いた彼女は






勢いよく電車をおりました。






彼女は家までの道のり






”タフじゃなくても、
           クールじゃなくてもだいじょうぶ。
                            あなたなら、だいじょうぶ。”






という風船の糸を、指にギュッと絡めて離さずにいました。






このおはなしはフィクションです。






言葉が真実かどうかなんて、どうでもよかった。








画面のむこうのあなたが、そう感じる村人と同じでありますように。







Love,





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2 件のコメント:

  1. 新しいチャレンジ、がんばって!!くださいね。

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  2. LIJINGさん

    ありがとうございます。お返事遅くなってしまってごめんなさい。
    LIJINさんのブログ読ませてもらっています。
    教えるのは、台湾人の子達なんですよ。
    台湾にますます行ってみたくなります。

    返信削除